「海がきこえる」について。


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「ジブリで一番好きな作品はなんですか?」と聞かれたら昔は「風の谷のナウシカ」あたりを言っていた自分なのですが成人する前後からのここ数年にかけて「海がきこえる」という作品が気付いたら一番になっていました。この作品の良さは子供には分からない。大人になりつつある皆さんにオススメしたいです。




「海がきこえる」について

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この作品がまず世に出たのは原作の小説で作者は氷室冴子さんです。氷室さんが「魔女の宅急便」に触発されてスタートした今作はその縁もあってスタジオ・ジブリの近藤勝也さんというイラストレーターが挿絵を担当しました。(余談ですが近藤勝也さんの絵は感情豊かで本当に良いので挿絵集もおすすめです)
この連載が92年に終了した後にスタジオ・ジブリ内で色々あったことから「若手でひとつ作品を作る」プロジェクトが持ち上がり、その題材として「海がきこえる」が採用されます。これは日本テレビ開局40周年の企画で、「海がきこえる」は劇場公開用の作品ではありませんでした。
また、後の95年に武田真治などの豪華キャストで続編がドラマ化されています。
原作は「海がきこえる」「海がきこえる-アイがあるから-」の二作からなっていて、アニメーション版は「海がきこえる」ドラマ版は「アイがあるから」をそれぞれ用いた作品です。
詳しくはwikipediaに「耳をすませば」は「海がきこえる」に触発されて生まれた!など面白いエピソード満載で載っているのでこちらもご覧になってみてください。
wikipedia – 海がきこえる

アニメ版あらすじ

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高知の進学校から東京の大学に入学した杜崎拓は、吉祥寺駅のホームで武藤里伽子に似た女性を見かける。その後、はじめての夏休みに同窓会のために故郷・高知へと帰省する道中、拓はその高校時代を思い起こす。高校二年生という微妙な時期に東京から転校して来た里伽子との出会い、ハワイへの修学旅行などほろ苦い記憶をたどりながら、拓は里伽子の存在を振り返っていく。(wikiから引用)

この作品の魅力

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小さい頃に「海がきこえる」を見た時に抱いた印象は「ただワガママな女に振り回されてるだけ」のつまらない作品でした。ですが大人になって改めて見るとそのワガママな女にも様々なバックボーンがあり、言ってしまえば感傷に苛まれているということが分かります。それを上手くやりすごす術が見つからずに振り回してしまうのはいかにも不器用な思春期です。それに振り回されながらも惹かれていくことに気づかないという主人公の感情もまた不器用で、そうやって不器用にもがいている登場人物たちを見ていると嫌でも自分の青春時代と重ねあわせてしまいます。
この不器用な登場人物の描写がとてもリアルで他のジブリ作品にはない魅力のひとつであるように思います。そしてそれが高知の風景と相まってなんとも言えない郷愁のようなものを与えてきます。
これを見ている自分は高知県に住んでいたわけでもワガママな転校生に振り回された事があるわけでもないのになんとなく懐かしい気持ちになるのは不思議です。氷室冴子さんの巧みな心理描写があってこそのような気がします。

つまり原作はもっとすごい

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ジブリ版の「海がきこえる」は劇場用ではないので一時間ほどの作品です。ジブリの映画は途中で結局見なくなっちゃう!みたいな人にも手軽に見れるのでおすすめですよ。ちなみに「海がきこえる」が金曜ロードショーであまり放映されない理由としては尺の問題もありますが、劇中に高校生が飲酒しているシーンがあることも一因みたいです。割と重要なシーンなのでカットもできないんですよね。ということでレンタルでもいいので見てほしい!
そしてアニメ版を見てこの作品の良さが分かった人にはやっぱり原作を読んでもらいたいです!アニメ版ではほとんどワガママな女で終わっていた里伽子への救済措置が原作ではなされているんです。自分を認めることで大人になっていくということもありますよね。
更には上京後の生活を描いた続編もすごくいいのでオススメです。様々な人や大人との出会いが主人公たちを大人にしていきます。
さらなる続編も望まれていたのですが原作者の氷室冴子さんが2008年に若くして亡くなってしまったこともあり実現しませんでした。とても悲しいです。

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海がきこえる (徳間文庫)
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海がきこえる〈2〉アイがあるから (徳間文庫)
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